20年ほど前らしいのだが、「マニュアル敬語」なるものが話題になったというが、小生にはまったく記憶にない。
コンビニなどで働く方たちが接客で使う話法を指すらしい。売り手と買い手の関係のみで交わされることばで、そこに人間的一般表現がないとのことだ。
なるほど……、と妙に納得した。
母親よりも年上のパートの女性が、コンビニのレジに立ち、塾帰りの小学生の買い物に対して、「お弁当は温めますか?」とか、「冷たいものと温かいものは別の袋に入れますか?」など、大人と同じ接客をする。
別に悪いことではない。しかし、まったく人間味がない。
振り返ってみると、自分が小さい頃は近所の商店にお使いに行く程度だった。もちろんコンビニなどない。コンビニがないということは「マニュアル敬語」なるものもない。
「信ちゃん、おつかい?」
「うん……」
「えらいね、ハイお釣り。落とすんじゃないよ」
「うん……」
「まっすぐ帰るんだよ、もう暗いから」
こんなんだった。
つまり買い手と売り手の会話ではなく、大人と子供、保護する側と保護される側、近所のおばちゃんと近所の悪ガキ……。
どう見ても年下で、どう見てもクソガキだったら、お店としては敬語を使わなくてもいいじゃないのか。
傾向としてはお年寄りには優しい接客が当たり前のようになってきたが、それなら子供にも昔ながらの、地域の子供を守る大人の立場的な接客をしっかりやった方がお店の信用と信頼を増すのではないかと考える。
マニュアル敬語なるものがあらわれてからなのだろう……、いつの間にか客ならどんなわがままな振る舞いも許される、というような風潮になった。逆にネットでは、普段、人として本音の会話をしていないからか、初当選の青森市議(28才)のように、ツイッターで「年金暮らしのジジイ」などと憂さ晴らしをしてしまうのだろうか。
おい、市議の小僧、普段から本音で生きろ !! そしたら、そんな失礼な中学生みたいな表現をツイッターには書かないはずだ !! とうそぶく小生もなかなかの小心者で、普段から本音で生きていないのかもしれない。
先日、福岡のコンビニで「おにぎり温めて下さい」と頼んだら、怪訝な顔でみられた。たしかに、おにぎりを温めるのは北海道のコンビニくらいだろうが、そんな表情をする接客態度には腹が立った。 (完)