講演を終え名刺交換をしていた処に一人の営業マンが現れこう私に言った。
「話を聴いていてあなたは本物だと思った。私と同じ考えだった。だから私はあなたを好きになりました」
私はその男性を見つめながら「ありがとうございます」と一応礼を述べた。
なぜ “一応” といったかというと、その男性はどう見ても私よりはるかに若いからだ。
「営業職に就かれて何年ですか?」
「8年目です」
「四分の一ですね」
「なにが?」
「営業のキャリアがです。私は今年32年目です。だから丁度あなたの4倍になる営業の道を歩みました」
その青年は(それがなにか?)という顔をしていました。私はそれ以上、その青年との会話を続けませんでした。
よくあることです、とそういってしまえば簡単なのですが、最近、対等な物言いをする若者が増えています。そして本人はまったくそのことに気がついていない。
「礼のある処に人は集まる。営業とはどこまで礼儀正しく誰にでも接することができるかではないでしょうか」そう講演の冒頭で申し上げました。そのことに先の青年は同調し、私を「本物」と認めてくれたそうです。ただ、せっかくですが、私はこの青年に本物だと認められる必要はないのです。メシの数がすでに違います。反対に私はその青年を本物と認められませんでした。そのことに青年が気づいたかどうか。
人生、年上に認められなければ大成しないのです。それには礼儀正しく接することです。青年は非常に失礼な若者でした。